理事長挨拶
理事長就任のご挨拶
一般社団法人 日本腎代替療法医療専門職推進協会理事長
中 元 秀 友
(埼玉医科大学総合診療内科 教授)
日本腎代替療法医療専門職推進協会の初代理事長としてご挨拶させて頂きます。日本腎代替療法医療専門職推進協会は腎代替療法に関わる多くの学会、団体関係者の議論の末、令和2年12月にご賛同をいただいた日本腎臓学会、日本臨床腎移植学会、日本腹膜透析医学会、日本腎不全看護学会、日本臨床工学技士会、日本腎臓病薬物療法学会及び日本透析医学会の各理事会で、一般社団法人として設立することが承認され、令和3年1月14日付け日本腎代替療法医療専門職推進協会として東京法務局の認証を得て法人登記がなされました。この協会は医師、看護師、臨床工学技士、薬剤師、管理栄養士、移植コーディネーターなど多くの医療専門職が腎代替医療の発展のために協力していくこと、さらに患者さんにより良い医療を提供することを目指して設立された協会です。
設立の直接の経緯をお話しします。平成30年の診療報酬改定において新たに導入期加算の1と2が認められました。この結果腹膜透析患者数と移植患者数の増加が認められました。その後の令和2年の診療報酬改定ではこの加算2は更なる増額が認められ、腹膜透析や移植への更なる取り組みの重要性が認識されました。また同時に令和2年の改訂では、チーム医療の重要性も含めて、保存期における腎代替療法指導管理料が認められました。これは3年以上の経験を有する専任の看護師の関与を必須とした新しい制度です。今後さらに高齢化や合併症の重症化が進む可能性が高い透析療法において、より一層多職種によるチーム医療の推進が期待されます。その要となる医療専門職の重要性は増すと思われます。しかしながら、医療専門職の資格は各学会で独自に認めているのが現状です。そのためにも透析療法に特化した医療専門職の新たな協力体制の確立、その制度の中心となる共通の資格認定制度の創設が必要となってくると思われます。その制度の確立によって、新資格を有した医療専門職を中心として患者・家族を支援する連携体制が促進され、腹膜透析や腎移植、通院の血液透析患者といった在宅患者の割合が徐々に増加することが期待されます。
また、令和2年初旬からのCOVID19の流行は腎不全医療にも大きな影響を与えています。今後のCOVID19などの感染症の予防、対応にも医療専門職の協力は必須です。そのためにも共通の資格認定を目指して活動して行く必要があります。
このような経緯で、透析療法に携わる医療専門職の共通の新資格として全ての職種に共通の「腎代替療法専門指導士」を創設し、その認定を行う団体として日本腎代替療法医療専門職推進協会を設立する事となりました。一般社団法人として日本透析医学会、日本腎臓学会、日本臨床腎移植学会、日本腹膜透析医学会、日本腎不全看護学会、日本臨床工学技士会、日本腎臓病薬物療法学会及び日本薬剤師会、日本栄養士会等各領域の団体との連携を強化して、一層在宅医療や移植が推進されるよう、そして腎代替療法を必要とする患者さんたちの生活を、より良い方向へ導く医療専門職を育成することを目指して創立しました。
当協会は今後の活動目標として、「腎代替療法専門指導士」の創設を目指しています。その役割は、多職種によるチーム医療で適切な腎代替療法の選択を推進すること、さらに透析患者および腎移植患者のADL、QOLの向上を目指すことです。特に在宅医療および腎移植医療の推進を重要課題とし、腹膜透析ならびに腎移植医療の推進を目指した活動を行っていきます。また透析見合わせ希望者に対して緩和を含めた適切な対応を行いうる体制の構築を目指します。具体的には多くの学会からの支援と指導を受けつつ、透析療法に携わるprofessionalismを有する医療専門職としての「腎代替療法専門指導士」を認定し、育成•教育することを目指します。腎代替療法に関わる医療専門職の共同組織として、今後皆さんとともに頑張って行く所存です。
皆さんと一緒に未来の、明るい医療を目指して頑張って行きましょう。実際の道のりは大変だと思いますが、皆さんのご協力、ご参加を楽しみにしています。
令和3年4月吉日