設立趣旨書
一般社団法人
日本腎代替療法医療専門職推進協会
設立趣旨書
わが国の慢性透析患者は33万人を超え、現在もなお増加を続けています。特に問題となるのは、基礎疾患として糖尿病や高血圧による腎臓病が大部分を占め、透析導入時の平均年齢が約70歳と着実に高齢化が進行しているという状況です。その結果、ADL、QOLが低下した透析患者が急増しており、重大な問題となっています。また、わが国は世界でも最も透析患者が多い国の一つですが、その内訳は極端に血液透析患者が多い反面、腹膜透析患者は3%程度と大変偏った治療選択となっている点が特徴です。これからの医療の方向性として在宅医療は最も重要であり、透析療法においてもconstruction例外ではありません。その意味で、現在少数にとどまっている腹膜透析や腎移植を推進させること、また血液透析においても在宅で継続可能な患者を増やすことは、重大な課題であると考えています。そのためには、透析療法に携わる医師のみならず、看護師、臨床工学技士、薬剤師、管理栄養士などの医療専門職との連携体制、すなわちチーム医療が必須です。患者とその家族は、さまざまな医療専門職からの支援と指導を受けることで、透析療法を継続しながら、より良いADL、QOLを目指すことが期待されます。一方、それを担う医療専門職は高度なスキルを必要とします。現在、各医療専門職の経験や能力を認定する制度が、それぞれの領域ごとに定められ実施されています。しかしながら透析療法としての共通した医療専門職の資格認定制度はありません。今後さらに高齢化や多合併症化が進む透析療法において、より一層、チーム医療とその要となる医療専門職の重要性は増すと思われます。そのためにも透析療法に特化した医療専門職の新たな資格認定制度の創設が必要となっていると考えます。その結果、新資格を有した医療専門職を中心として患者・家族を支援する連携体制が促進され、腹膜透析や腎移植、通院の血液透析患者といった在宅患者の割合が徐々に増加することが期待されます。
このような経緯で、透析療法に携わる医療専門職の共通の新資格として、「腎代替療法専門指導士」を創設し、その認定を行う団体として日本腎代替療法医療専門職推進協会を設立することといたしました。一般社団法人になった暁には、日本透析医学会のご指導の下、各領域の団体との連携を強化して、一層在宅医療が推進されるよう、そして透析療法を必要とする患者さんたちの生活を、より良い方向へ導く多くの医療専門職を育成することを目指します。